ご存じでしたか?Slack という名前は、Searchable Log of All Communication and Knowledge(検索可能なあらゆるコミュニケーションと知識のログ)の頭文字になっています。私たちは創業当初から、仕事に関するすべての会話を 1 か所にまとめれば、企業にとって価値のある知識の宝庫になるはずだと考えていました。ただ、このようなナレッジベースには共通のパラドックスが存在します。つまり、使えば使うほど、情報が増えて、自分の仕事を進めるために必要な情報を見つけづらくなるという問題です。
そこで Slack は、こうした非構造化データ全体にわたる検索を可能にするために、まずキーワード検索を導入しました。キーワード検索は、関連する単語やフレーズによって、特定の情報を見つける技術です。これは Slack で共有された会話やメッセージ、ファイルに含まれる情報を見つけるうえでユーザーの役に立ちました。実際、検索バーは Slack でもっともよく使われる機能の 1 つとなりました。
Slack がサードパーティーのアプリやデータに対応し、Slack コネクトで外部の人との会話も可能になるにつれて、「検索可能なコミュニケーションと知識のログ」が大幅に増加していきました。この状況に合わせて Slack の検索機能も進化させる必要がありました。
Slack の検索に AI がどのように活用され、機能の向上に貢献しているか
人工知能(AI)時代が到来して、人々の働き方はまったく変わりました。今では情報を見つける方法として、キーワード検索の代わりに質問が使われるようになっています。このような時代の期待に応えるのが、特定のキーワードやコマンドではなく、日常的な言葉で質問して情報を探せる「自然言語検索」です。ユーザーは仕事やトピックについて具体的な質問をすることで、探している情報を見つけたり、パーソナライズされた結果を得たりできます。
Slack はつねにユーザーを念頭において設計されています。そのため私たちは、コンシューマーグレードのエクスペリエンスをいっそう充実させるために、より複雑な検索に対応できる「セマンティック検索」を導入しました。セマンティック検索は、正確な単語が使われていなくても、フレーズや質問の意図を理解し、インテリジェントな回答を返します。例えば、Slack の検索バーに「顧客に対する当社の SLA は?」と質問すると、契約としての SLA を直接参照した回答に加えて、サービスレベルに影響を与える最新の障害レポート、比較できる関連企業のベンチマークデータ、顧客に影響を与える可能性のあるダウンタイム計画のアナウンスなど、重要な関連情報も提示されます。
それに続く次の進化が、エンタープライズ検索です。エンタープライズ検索は、あらゆる企業データアプリケーションを Slack 内で安全に接続し、ユーザーの質問に対して、各種サードパーティーアプリの情報を反映した回答を提供します。Slack 内でその情報が明示的に共有されている必要はありません。この方法により、接続されたデータやドキュメントをもとに、これまでより大幅に充実した、よりその企業に特化した回答が得られます。検索結果には、該当するドキュメントに Slack 内から直接アクセスするためのリンクも表示されます。
「デジタル労働力」が登場した今、情報を検索する主体は人間だけではありません。エンタープライズ検索へのアクセス権を Agentforce に与えることで、Agentforce が接続されたソース全体を検索し、その結果を会話の中で直接提供してくれるようになります。ユーザーはその情報をもとに、タスクをエージェントに任せるなどのアクションを実行して、自身は戦略策定や価値の高い仕事に集中できます。
Slack は AI をどのように活用して、検索結果を継続的に向上させているか
Slack は、働く人が社内のナレッジを見つけられる場所です。そこではナレッジが正確かつ関連性の高いものであることが不可欠です。それにより働く人は時間を節約し、意思決定やアクションをより迅速に実行できるのです。Slack では、検索結果を継続的に向上させるために、以下の取り組みを行っています。
品質保証 : AI 検索の質を保つために、私たちは主要な指標およびユーザー企業の皆さまからのフィードバックをつねに注視しています。また、正式なリリースに先立って、社内チームで自ら使ってみて改善点を発見する「ドッグフーディング」、少人数グループから始めてより大きなユーザー層へと対象を広げる対照実験などの取り組みを実施しています。リリース後も、ユーザー企業の皆さまやパートナーからのフィードバックサイクルを継続し、必要に応じて改善を行っています。
指標 : 品質についての「北極星指標」を設定することで、ユーザー企業の皆さまの期待に応える高水準のサービスを提供できるようにしています。具体的には、Slack の検索バーに入力された質問を正しく理解し、その精度が向上するよう、社内指標とユーザーからのフィードバックの両方を用いてパフォーマンスと結果の精度を測定しています。さらに、ユーザーがあらゆる検索を直感的に行い、つねに的確な回答が得られるよう、継続的な改善を実施しています。
エンタープライズ検索では、あらゆる企業データに対してセキュリティを確保
Slack 内のデータ以外も検索したいというニーズに応えるために、接続したデータを Slack の検索バーから直接探せるエンタープライズ検索が導入されました。あらゆる非構造化データを一元的に検索できるのは非常に強力な機能ですが、そこでは何よりもデータのセキュリティが優先されなければなりません。
そのため私たちは、あらゆる段階において、信頼性・セキュリティ・コンプライアンスをつねに優先しています。Slack のエンタープライズ検索ソリューションでは、接続したすべてのビジネスアプリと Salesforce レコードなどの顧客データソースに対して、権限を反映した検索をリアルタイムで行うことで、企業データのセキュリティを確保しています。
リアルタイム検索とは、グローバルな検索バーに質問を入力すると、その情報がリアルタイムで照会される方法のことです。外部システムを検索した際の結果は Slack 側には保存されず、データは外部システム内にとどまるため、ユーザーは安心してこの機能を利用できます。また、ユーザーはつねに最新の権限と内容が反映された状態で検索を行えます。接続されたアプリ内にある、そのユーザーが直接アクセスできない情報は、Slack の検索結果にも表示されません。
ユーザーは自然言語で質問を入力するだけで、簡潔な要約や関連性の高い結果を受け取ることができます。このような直感的な操作は、現代のコンシューマー向け AI 検索ツールの多くに見られるものですが、Slack のエンタープライズ検索では、それを接続されたすべてのエンタープライズデータにおいて安全に利用できるようにしています。
ユーザーが検索を実行すると、Slack は接続されたすべてのアプリから関連情報を見つけ出し、それを大規模言語モデル(LLM)に送信してわかりやすい回答を作成。その後すぐに、そのデータを削除します。検索拡張生成(RAG)と呼ばれるこの技術により、エンタープライズ検索は、利便性と信頼性を両立しています。さらに、Slack AI によって仕事をよりスマートにするにあたって、私たちはセキュリティを非常に重視しています。Slack はユーザー企業の皆さまのデータでモデルをトレーニングすることはありません。また、そのユーザーがアクセスを許可された情報のみを表示します。これにより、皆さまに信頼されるエンタープライズグレードのセキュリティとコンプライアンス基準を維持しています。
以上のような仕組みにより、エンタープライズ検索を使えば、働く人は仕事の流れの中であらゆる必要な情報を見つけて、より迅速にアクションを起こしたり、データにもとづいたスマートな意思決定を行ったりできるようになります。それがより良いビジネスの成果を生み出すことにつながるでしょう。
「S.L.A.C.K.」の真の実現に向けて
多種多様なデータセットが混在するなか、重要な情報を効果的かつ効率的に見つけることはますます難しくなっています。この課題を解決するため、Slack は長年にわたって検索機能を進化させてきました。その結果、働く人は必要なときに必要な場所で、仕事を進めるために必要な正確な情報を簡単に見つけられるようになりました。仕事に関するあらゆる質問に会話型インターフェイスで対応できる Slack は、まさに AI エージェント時代の「Work OS」だといえるでしょう。
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